朝日新聞の宮城県版の「朝日みちのく歌壇」は毎土曜日に掲載される。選者は梶原さい子さん。2025/3/1 に掲載された短歌に次のようなものがある。
〈この世とはいつの世ならむその昔滅びし星の光が届く〉
日頃から頭に巡ってる想念がこのようなものであったので、私には大変わかりやすい歌であった。たしかに想念は頭に巡っているが、このような形で三十一文字にまとめられると見事と言うしかない。読んだ後に、ある感動がくる。光は走り続けてきた、ついにこの小さい地球に光が届く。宇宙の広がりを考える時「この世」とはどの世なのだろうかと思う。そう思っている自分はどの世に存在しているのだろうか。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が135億年前、ビッグバンのたった3億年後にできたとされる銀河JADES-GS-z14-0を観測したとのこと[注1]。太陽系のできたのが45億年前とすると、太陽も地球も何もなかった頃にこの銀河から光が出発した、今この瞬間にもこの銀河があるかどうかはわからないけれど。「その昔滅びし星の光が届く」とはこのあたりのことを言っている。寿命が80年ほどの人間が望遠鏡を覗いて、このような遥か昔の世界を観測する。135億年前に現地を出発した光が、いまこの瞬間に地球に届いている。なんとも不可思議なことと思うしかない。
[注1]https://en.wikipedia.org/wiki/JADES-GS-z14-0
2025/03